ご家族様や入所者様または患者様をベッドに寝かせた後、体を枕元へ近づける事が大変だなと感じた事はありますか?
私は、ベッドで患者様を上の方(枕側)へ近づける事が時としてとても大変に感じていました。その方の出せる力によりますが、介助者側はかなりパワーを要します。
本日は、「介助をする方」と「介助が必要な方」両方がどのようにしたら楽に上の方へ移動出来るのか、私がやってみて良いなと思ったやり方を説明していきます。
前提条件:ベッドへ寝る前になるべく枕元へ近づいておく
ベッドに寝る前に、座った状態で予め枕元へ近づいておく事は、寝てから枕元へ近づける事よりも相当楽です。
可能な限り忘れず近づいてもらうクセをつけましょう。
相手に協力してもらうための準備3つ
ベッド上での移動が大変な大きな理由の一つとして、寝ている姿勢がとても安定しているという点にあります。
安定している事自体は良いのですが、安定している=動かそうとする時の摩擦が強く動かしにくいという事でもあるのです。
そこで、その安定してる寝た姿勢を、不安定にする事により、そこから体を動かす際の摩擦を減らす事ができます。つまりは介助量が減ります。
その方法を3つ紹介していきます。
一つ目:膝を立てておく
膝を立てておくだけで、ベッドと体の接触面積をかなり狭める事ができ、動く際の必要な力はかなり減ります。
可能な方は自分で立ててもらって、難しい方は介助して立ててあげましょう。
体の触り方のポイントについては、こちらの記事もご覧下さい。
二つ目:ベッド横の柵やフレーム等を握っておいてもらう
介助が必要となっている方の残っている力を使って頂く為にできる工夫として、移動する前にベッドの柵やフレームを持っておいてもらうと良いです。
お尻や背中を持ち上げられない方でも、手は比較的動かせる方は多いので、まずは摑んでみてもらいましょう。
手で手すりをつかみ、そしてそこから体を引き寄せる力を利用できれば、ベッド上での介助量は大きく減らすことができます。
そして、パワーを使う方にとっても、ちょっとしたトレーニングにもなります。
三つ目:上へ移動する瞬間に、お尻(可能であれば頭も)を少し持ち上げてもらう。
お尻は、体の中でも一番重みの比重が高い場所になります。
お尻がベッドに食い込む事によって動く際の摩擦は高く、上へ行く際に相手の腰を動かす事は大変です。
そのため、ベッドで上へ動く瞬間に、お尻を少しでも持ち上げる事ができれば、抵抗感はかなり減ります。
可能な限り持ち上げてもらえるよう、相手の方へ忘れずお声掛けしましょう。
上へ行くための介助方法3つ
一つ目:腰からお尻あたりを支えながら上へ移動する
こちらは、私が一番よく使っていたやり方です。体の軸と腕はしっかり固定して、自分の脚力を使って行います。
二つ目:横から、肩と腰を支えながら上へ移動する
このやり方で上へ移動する際は、腰を捻ねる動きが伴いやすいため、腰痛があるは注意しながら行いましょう。
上の図では、腰の捻りは使わずに、膝と股関節を曲げる動きを利用しながら腰に負担が来ないようにしています。
三つ目:頭の方から両方の肩を上へ引き寄せる
こちらは、自分の体の重さを利用できるので、必要な力が少なく済みます。
そして、行う動きは「両側の肩を引く」というシンプルな動きなのでわかりやすくて良いです。
床に着いている自分の足は固定したまま、腰を後ろかつ下に落とすような感覚で行います。
難点としては、ベッドの頭の方に高いフレームがあると介助者の体がぶつかって出来なかったりします。
使えるものは使おう!シャカシャカシートを利用してみる
シャカシャカシートとは、触れると摩擦の少ないシルク調のシートの事です。介助道具としての名称は「スライディングシート」または「ポジショニングシート」と呼ばれています。
こちらを、寝ている方とベッドの間に敷く事によって、移動時の摩擦が減り、介助量がグンと減ります。
病院や施設によっては利用されているスタッフもいらっしゃいます。難点としては、こちらは購入にかかる費用が物により数千〜1万程度要します。
購入するのは悩んでしまうので、ベッド上での介助が大変だ!と思う方は買い物用のビニール袋を試しに使ってみるのも良いかもしれません。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!