ベッドから車椅子への乗り移り、車椅子からベッドへの乗り移り…介護場面でよくみられるこの動きを、移乗動作と呼びます。
怪我や病気をきっかけに歩く事が難しくなると、車椅子を利用する場合があります。
すると、ベッドから車椅子へ移る時、車椅子からトイレの便座へ移る時など、日常生活場面で乗り移りをする機会が沢山出てきます。
介助量にもよりますが、乗り移りをする際は地面の上を経由するため、多かれ少なかれリスクが伴う事がほとんどだと思います。
介助を行う身としては、リスクは極限まで減らしていきたいものです。
私は、移乗前の準備は介助のやり方と同じ位大事だと思っています。忙しくて準備がおろそかになると、それだけ転倒リスクは増えていきます。
本日は、安全な移乗を行うために介助者(ご本人含め)が出来る準備に何があるのか?を説明していきたいと思います。
移乗をする準備をする前に声かけをしよう!
乗り移りをする前には、必ず相手にこれから何をするのか?人によってはどんな動きをしていくのかまで細かく説明します。
相手の方がこれから何をするのかを理解していただく事により、協力も得られますし、介助をされる不快感も減ります。
最低限これから行う事、乗り移る場所はしっかり伝えましょう。
車椅子の停車位置を気をつける
安定して歩ける方は別なのですが、乗り移る際にふらつきやすい方の場合には、この停車位置は大切です。
「現在地」と「これから乗り移る先」の距離が開けば開く程、落下する可能性のあるスペースが大きくなってしまいます。
その距離を縮める事により、転倒する危険を減らします。
車椅子の環境を調整する
ここでは、車椅子の肘掛け・足置き台について触れていきますが、車椅子のタイプによってはこちらが操作できない事もあります。
肘置きをはね上げる:座った姿勢のまま乗り移る方の場合に特に大事です。
肘置きをはね上げると何が良いかというと、障害物が減るためです。
お尻が肘おきに当たらないので、楽にお尻をベッドへ移る事が出来ます。
移る側の足置き台を取り外しておく:足置き台を取り外せると、乗り移っている最中に足が足置き台に当たるのを防げます。
介助量が多い程、足の部分に当たらないように注意を払うことが大変になります。
予めその部分を取り外しておく事により、足が怪我するリスクを減らす事ができます。
体の位置を調整する
手の位置:立って足踏みを出来る方ならさほど気にならないのですが、それが難しい場合にはこの位置は大切です。
手の位置は体が動かせる範囲で遠くの方についておきます。
すると、体重が前方に乗せやすくなる事から立ちやすくなります。
そして、体を支える部分の面積を広くとる事が出来るので、体の位置を行く先の方へ変えやすくなります。
足の位置:足は、手前に引いた方が立ち上がりやすいです。
※立った状態で足踏みをする事が難しい方の場合には、「ベッド側の足」は引くよりも予めベッドの方に位置させた方が楽な場合もあります。
座る位置:座る位置は、前の方に移した方が足を地面に着きやすくなり、体重が前に乗りやすくなる事から立ちやすいです。
前に行き過ぎるとずり落ちてしまうリスクが出てくるので、お尻はしっかり座れる範囲の位置に留めます。
ベッドの環境を調整する
乗り移る先のベッドの高さが、移る前の車椅子の位置と同じ高さか、低くなるようにしましょう。
車椅子からようやく立ち上がれるような方の場合には特に大切です。
ベッドへ乗り移ろうとした時、行く先の方が高いと、後からさらに体を起こさなくてはならないため負担が多くなります。
以上が、明日から出来る移乗の前準備でした。
注意して頂きたいのは、全ての方に同じ事をする必要があるかというと「そうではない」という事です。
ほとんど自分の力だけで安全に乗り移れるような方の場合には、逆に色々準備されると煩わしく感じられてしまう事もあります。
福祉用具のリフトを利用する場合も肘置きは外さなかったりもします。
乗り移りをどのようにするのか?乗り移りをする時の状況ややり方によって、今回の内容を参考にして頂けたらと思います。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!