介助が必要な家族(または患者さんや入所者さん)から、トイレへ行きたいと言われた。
急いでベッドから介助をしながら起き上がらせ、スリッパを履かせる。
両脇から体を支え、いざ、立ち上がる。
が、お尻が上がらない…
だがもたもたしている時間はない、行きたいという気持ちが薄れる前に急いでトイレへ連れて行かなければ…
両脇から体をグッと固定して勢い良く引き上げながら、立ち上がらせようとした、その時
「ビキッ」っと腰に来た…
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というご経験はあるでしょうか。
本日は介助をする人・介助をされる人がなるべく双方楽に立ち上がるための介助方法について書いて行きます。
立ち上がる時に大切な事、それは「相手の動きの邪魔をしない事」「自分も相手も楽なやり方で行う事」だと思います。
1.立ち上がりの介助方法
・お尻を前の方へ移す(足は軽く引いておく)
自分でお尻を前に移す事が難しい場合には、手伝います。
・お辞儀をしてもらう(体を前へ持っていく)
相手の体の重さが、相手の両足の間に来るようにイメージしながら行います。
・上へ引き上げていく
両足の間に体重が移ると、お尻が軽くなるので、そのタイミングで引き上げて行います。
腕の力だけで引き上げるのではなく、自分の体を起こす事によって生まれる力も利用します。
2.立ち上がりの介助方法:どこから介助をするのか考える
立ち上がる時に介助を加える場所は、大きく分けて3タイプあります。
私は、このやり方を相手の動ける量や体重によって分けたり組み合わせたりして使っていました。
上から、介助量が軽い順に記載していきます。
・手周辺
手や、腕から軽く支えてあげるやり方です。相手もこちらも動きやすいですが、支えられる力は少ないです。
概ね自分の力で動く事はできるけど、動き方がわからない方や、軽い支えで立てる方の場合には適しています。
ですが、介助量や体重が重い方の場合には、支えきれくなってしまう恐れがあるため、その場合は避けましょう。
・わき周辺
脇や脇腹辺りを支えてあげるやり方です。比較的相手も自分も動きやすく、そして、ある程度の重さにも耐えられます。
立つ途中で膝折れをしてしまう可能性がある場合には、予め自分の片膝または両膝を相手の膝下辺りへあてがっておけると転倒防止になって安心です。
注意点としては、介助者自身の腕や肩の力があまりない場合には、相手の体重や介助量によって支えられない事があります。
・腰周辺
腰〜股関節〜お尻の外側辺りに手をあてがって支えるやり方です。腰から支えるために、自分自身の体の位置は結構低くする必要があります。
自分の上体を低くする事で、持ち上げる時の体の負担が減ります。
そして、自分と相手の体の位置が近くなるので、比較的楽に相手の体を持ち上げる事が出来ます。
相手の体を介助者自身の体全体で固定する事が出来るので、脚力が使いやすくなります。
介助量が多い・体をガッシリと支えていないと不安な場合にはこちらの方法が比較的オススメです。
3.立ち上がりのポイント:相手の動きを邪魔しない
ここで試していただきたい事があります。今座っている状態で、自分の両方の膝が壁に当たる位の位置に移動して頂きたいのです。
そこで、立ち上がってみて下さい。
難しいですよね、立てたとしても普段より相当の大変だったのではありませんか?
これは、立ち上がるために頭や膝が前へ出る動きが妨げられてしまうために起こります。
立ち上がる時の介助位置によっては、このように相手の立ち上がりをしにくくしてしまう場合があります。
相手の邪魔な位置に自分の体を置いてしまわないようにご注意下さい。
ですが、相手の近くに寄らないと介助をする側が大変になってしまうのもまた事実です。
そのため、立ち上がりでは、相手の立ち上がる時に伴う動きを邪魔しないように自分も一緒に動いていく必要があります。
4.立ち上がりのポイント:自分の重心移動を利用する
冒頭のストーリーで書かせて頂きましたが、体を引き上げるという動きはやり方によっては腰に響きます。
体の一部に負担が集中しないように、自分の体の使い方を意識しましょう。
具体的には、股関節や膝関節や足首の動きを使って自分の体の重心を上へ持ち上るようするのです。
上の図を例とすると、始めに前にかがんだ状態から体を真っすぐに起こすだけで、自分の体の重心は上へあがります。
そして、そこからさらに股関節から足にかけて真っすぐ伸ばすだけで,さらに体は上へ持ち上ります。
このような動きは、足首・股関節・膝関節の動きをイメージしながら行うと、比較的楽に出来ます。
体重の移動を利用する方法については、こちらの記事をご覧下さい。
そして腰にビキッと響かないように、腰は過度に反ったり丸めたりしないようにしましょう。
あたかも自分の腰回りにコルセットが巻いてあるかのように、お腹周りに力をいれながら、体重移動と脚力で持ち上げましょう。
体を痛めにくい使い方についてはこちらをご覧下さい。
本日は、立ち上がりの介助方法とそのポイントをお伝えしました。
上記やり方でも、身長差が大きい場合や、体が突っ張りやすい、もしくは座っている状態で既に体が崩れそうになる場合には難しい事もあると思います。
別の立ち上がり介助方法についても、書いていきたいと思いますので、また次回の投稿もご覧頂けたらと思います。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!