前回と前々回で、階段の昇り降りのやり方・介助方法について説明していきました。
介助方法については、介助量に分けて2つのやり方を説明しましたが、注意点があります。
それは、介助量が重い人の階段の昇り降りは、相手と介助者双方を危険にさらすリスクがある事です。
介助量が多い方の場合には、介助で行う事自体を避けた方が良いケースも多々あります。
介助をする方が小柄であったり、逆に介助が必要な相手が大柄な場合は特にです。
そのような場合には、階段昇り降り用の昇降機を検討するのも選択肢の1つです。
本日は、階段を昇り降りするための福祉用具うには、どのようなものがあるのか挙げていきます。
階段で使える福祉用具:いす式階段昇降機
階段にレールを取り付け、椅子に座って昇降する方法です。階段にレールを取り付ける工事が必要となります。
また、椅子に座りながら昇降するので、椅子に安定して座れなくてはいけません。
設置に際しては、自宅の階段の形状に合わせてレールを取り付ける必要がありますが、こちらはオーダーメイド工事となります。
残念ながら、昇降機自体を含め介護保険の対象となりません。
しかし、住まいによって助成金が出る地域もあるので、気になる方はお住まいのホームページ等で調べてみて下さい。
いす式階段昇降機の初期費用や維持費についてわかりやすいサイトがあったので貼っておきます。
参考 自宅に介護用の昇降機を設置することはできる?設置の費用と特徴を紹介!ハピすむ
階段で使える福祉用具:独立型階段昇降機
椅子がついたクローラー(車椅子を乗せるタイプもあります)を介助者が操作し階段を乗り降りするものです。
団地の階段や、構造上階段用のリフトを設置できない場合などに用いられます。
上述したいす式階段昇降機やエレベーターに対して、こちらは介護保険が適応されます。
しかし、介助者は操作のための指導(講習)を受ける必要があります。
介助者へ指導するスタッフ自身も、操作のための講習を受け、さらに可搬型階段昇降機安全指導員という資格を持っている必要があります。
可搬型階段昇降機安全指導員についての詳細は、テクノエイド協会のホームページをご覧下さい。
その他:ホームエレベーターを導入する
家の中に、エレベーターをつけるという選択肢もあります。
エレベーターは3つの中でも一番安全な方法といえますが、自宅の構造によってはつけることが難しい場合があります。
介護保険は適応されないので、費用がかかります。本体価格、工事費用の他、維持費もかかります。
初期費用だけで300万を越える高価なもので、導入のためのハードルは結構高いと思われます。
ホームエレベーター設置にまつわる初期費用やランニングコストについてはこちらをご参照下さい。
参考 ホームエレベーターの設置費用から電気代などのランニングコストまで徹底解説!家仲間コム
さいごに
階段を昇り降りするための福祉用具を3タイプご紹介しましたが、いずれも導入するためにはコストがかかる事が難点です。
利用する介護サービスの量や金銭的な事情にもよりますが、介助量が多いにも関わらず優先順位の都合で利用しないというケースもあります。
居室を一階へ移す方もいますが、全ての方がそのようにできるわけではなく、中には引っ越しを選択される方もいます。
外出する時だけ、介護タクシーの方に階段昇降機を持って来てもらう事で昇降できるケースもあるようですが、その可否は介護タクシー事業者によっても異なるかもしれません。
家の環境、家族構成、利用しているサービスや金銭的な問題によっても選択肢は変わってくると思うので、担当のケアマネージャーさんとよく相談しながら、決めていく必要があると思います。