乗り移りをした後にふと
「なんで私はこのやり方をしているんだっけ?」
「このやり方は相手の方に合ったやり方なのかな?」
と思う事はありますか?
ベッドから車椅子への乗り移り、車椅子からトイレへの乗り移り…
車椅子を使われる方の場合には、この乗り移りをいかに安全で快適に行えるかは1番大切なポイントだと思っています。
しかし、そこで疎かになりやすいのが、その介助は相手の方に残っている力を引き出せているやり方なのか?という事です。
今回は、乗り移りで相手の力を引き出す方法について、触れていきます。
この記事を読む事によって、自分のやり方が今の相手にとって合っているやり方の1つなのだ!という「自信」がつきやすくなると思います。
それではいきましょう!
相手の方が何が出来て、何ができないのか考えよう
相手の力を引き出す前に考える必要があること、それは「今、目の前にいる相手の方が出来る事・出来ないこと」を自分の頭の中でイメージする事です。
いくつか例を上げていきます。
足踏みは難しい、でも立ち上がる事は出来る
片足を骨折したり、片麻痺になってしまったり…立ち上がる事は出来ても足踏みが出来ない方は結構いらっしゃいます。
しかし、立ち上がれる力があるのはすごい事です。
正直歩く事よりも立ったり座ったりする方がエネルギー使います。
立ち上がる事ができるだけでも、介助者にとっては負担を大きく軽減してくれます。
逆に、足踏みが出来ないからといって立ち上がれる方を無理に介助で立たせるのはあまり良くありません。
足踏みをしなくても乗り移れるように、足の位置を工夫してみましょう。
立ち上がる事は出来ないけど、座っている事ができる
上記にも記した通り、立ち上がる動作や歩くよりもエネルギーを使います。
足首のこわばりや腿の筋力低下、痛みなどで立ち上がる事が難しい場面は多々存在します。
しかし、座っている事が出来れば、福祉用具のスライディングボードやスライディングシートを使って乗り移れる能性もあります。
座っている姿勢が保てるだけで、スライディングボードはとても使いやすいものになります。
足に踏ん張りは利かないけど、両手でつかむ・支える力がある
両手でつかむ事が出来ると、棚や手すりを使う事によって自分の体が倒れないように支えながら乗り移ることも出来ます。
その場合には、手でつかみやすい場所や体を支えやすい位置を探して、環境を工夫しましょう。
相手の力の引き出し方
ポイントは相手が出来る事に着目する
「相手の方が何が出来て、何ができないのか考えよう」の部分で、出来ない部分と出来る部分のイメージが沸きやすくなったでしょうか?
半分答え出ていると思いますが、相手の力を引き出す事は「相手が安全に出来る範囲の事はしてもらう」という事でもあります。
つまり、相手が出来る事が何かをキャッチ出来なければ引き出す事も難しいという事です。
今から、あなたが普段介助している方の出来る事を探して見てください。
これ、探すのは1回キリでは不十分で、定期的に探してあげる事が大切です。
なぜなら、体の状態は高齢であればある程状態は刻一刻と変化していくからです。
回復過程にある方であれば、以前は出来なかった事が現在では出来るようになっている事もあります。
逆に、出来る事が出来なくなっていっている状態では、同じやり方では介助者・相手の方共に負担が増している可能性もあるでしょう。
体の状態が変われば、都度やり方を見直す必要があると思います。
出来る事を引き出せる方法を考えよう
では、出来る事がわかったら、次は出来る事の引き出し方を考えます。
例えば、両手で体を支える事が出来る方であれば、乗り移る付近に手すりがあるのであれば、それらを有効活用するのも1つです。
付近に何もなければ、その場所にあえて安定したテーブルや棚を置いて使ってもらうのも良いでしょう。
自分で動けるけれど、動き方がわからない方であれば、介助者が声や手で移る場所へ導いてあげるなどの介助をするのもありです。
座っている事が出来る方なのであれば、スライディングボードを敷いて座ったまま乗り移ってもらうやり方もあります。
後一歩で立ち上がれるような方の場合には、座っている椅子やベッドの高さを高くすることによって立ちやすくなります。
モーターベッドであれば高さ調整が出来ますが、モーターがついていない場合には、マットレスを厚いサイズに換えたりするのも手です。
車椅子の高さを高くしたいのであれば、厚み5cm位のクッションを足してみると、立ちやすくなります。
まとめ
相手の力の引き出し方をまとめると、
まずは「相手が出来る事と出来ないことをイメージする」
イメージが出来たら、次は「出来る事をいかにしてもらうかを考る」です。
出来る事を引き出す方法は、
「今相手の方の力が出やすい乗り移り方法は何か?を考える事」
出来る事を引き出せるように「環境を活かしたり、見直す事」
「福祉用具も検討する事」です。
明日からの乗り移りが、その方の力を活かせるやり方であるとともに、介護をされる方・介護をする方にとって安全・快適でありますように。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!