川崎市多摩区周辺【出張整体】

回復期病棟に家族が入院したら、考えておきたい事

退院後のことを不安に思う家族のイラスト

 私の祖父は、90歳代の高齢で、何度も救急搬送されていたという事もあり、体調を崩して入院した事については、ある程度覚悟は出来ていました。

 ですが、多くの方の場合には家族の入院は突然、訪れます。

 本日は、ご高齢になった家族が病気や怪我をして、回復期の病棟に入院した時に、家族は何を考えておいた方が良いのかをテーマにしました。

 回復期病棟を入院した場合、入院できる期限は概ね決まっています。

 数ヶ月あるかと思いきや、入院して退院するまでの期間は、気づけばあっという間に過ぎていきます。

 退院前にバタバタしないために、そして悔いを残さないためにも、入院中に考えておけると良いと思った内容を本日はまとめてみました。

 その内容には、私が回復期病棟で入院患者さんを担当し、円滑にリハビリを進めていく上で収集しておく必要のあった内容も含まれています。

 この他には、患者さんとその家族が望む目標に近づけるように、私自身が日々患者さんやご家族から少しずつ聞いていた事も書いていきたいと思います。

注意
今回のテーマの内容は、全ての方に当てはまるわけではありません。あくまでも、回復期病棟でリハビリをしていた1職員が、病気や怪我で回復期病棟へ入院する事なった患者さんを抱えたご家族様をイメージしながら書いたものです。

考えておいた方が良い事その①:目標について考える

入院前の生活のイメージのイラスト
もともとの生活スタイルを思い出す

ご本人や家族のご希望はなんですか?

 退院した後の事はどのように想像すれば良いのか…

 もちろん、現在の状態を考える必要はあります。

 ですが他にも、その方がもともとどのように生活していて、何が好きでどのような事を大切にしていたのか等、考える事はたくさんあります。

 その方が朝起きてから、夜寝るまで、どのように過ごされていたか思い出しましょう。


 ここから、患者さんご本人やそのご家族の希望の例を挙げてみます。

・ずっと布団で寝起きをしてきたから、ベッドは苦手で…だから、布団から立ち上がれるようになりたい…

・毎回トイレを手伝うわけにはいかないから、最低限トイレには行けるようになって欲しい

・外出して、美味しいものを食べる事が生きがいだったから、何かを使ってでも、一人で外出できるようになりたい

・座って大好きなラジオやテレビを見るために、2時間くらいは継続して座れる体力をつけたい

・言葉が出辛くなって…家族とスムーズにコミュニケーションが取れるようになりたい


 まず、目標とは何かというと、回復期病棟へ入院した方が、その入院を通して、何を達成していくかという内容です。

 希望をそのまま当てはめるのではなく、その方を取り囲むもの様々な事を加味した上で、考えていきます。

 その方に関わる医療スタッフは、主治医を主体として、その方やご家族のご希望や目標を参考にその方の状態に合わせた目標を考えていきます。

 目標については、入院前や入院時のカンファレンス(実施の有無は病院により異なります)にて、度々聞かれることがあるかと思います。

 ですが、突然目標を聞かれても、どのように考えていけば良いのかわからなくなると思います。

 なので、その方の現在の状況と、元もとの生活を振り返りながら、定期的に考えていくことが大切です。

 入院時に、退院後の希望を聞かれると、自宅で元のように生活する事とおっしゃる方が多いです。

 ですが、怪我や病気によっては、元の生活を送るには多くの壁が立ちはだかることがあります。

 そこで、入院する前の状態(どれくらい動けていてどんな生活を送っていたか)と、現在の状況を見ながら目標を考えていく必要があります。

 ご本人が掲げたご希望に『その方に関わる事・影響を与えるもの』を加味したうえで、目標を考えていくと、よりその方に特化した目標に近づきます。

目標を考えるまでの流れの例

 肺炎を患い、体力や筋力が落ちてしまった患者さんがいるとします。

 もともと炊事・洗濯・料理を自分でこなし、一日30分外で歩く事が趣味でした。

 今の入院生活では、壁や手すりを使うことによって一人で歩く事が出来ています。

 病棟生活で一人で出来ないことは、トイレでズボンを上げ下げする事・持病のお薬を適切なタイミングで飲み事・何もなしで歩く事・階段を上り下りする事です。

 つまりトイレと薬と階段については第三者の介助が必要です。

 患者さんご本人のご希望は『とにかく早く家に帰る事』とします。

 自宅は、建物の1階で、2階に娘夫婦が暮らしています。

 娘は、日中パートや家事を行うため、四六時中1階のご家族の元に訪問するわけには行きません。

 お風呂のサポートは介護保険の入浴サービスを利用し、炊事や洗濯は娘が帰宅してから行う事で解決出来そうです。

 娘のいない間の食事は、宅配サービスを利用すれば問題ありません。

 しかし、毎回のトイレのお世話をしてくれる方はいません。

 トイレをするたびに手伝いをしに1日に何度も足を運ぶのは大変です。

 まして、トイレが頻回の場合はなおさら厳しい事が想像できます。

 本来であれば、入院期間中にリハビリして、趣味であるお散歩も出来るようになってから退院してもらいたいところですが…

 とにかく早く帰りたい。その思いが強い患者さんです。

 介護さ-ビスと家族のサポートがあれば、家事や炊事の問題は解決しますが、トイレだけはどうにか一人で行ってもらわなければ、退院後が大変な事が想像できます。

 となると、第一優先として目標に思い浮かぶのは、『トイレに一人で行けるようになる事』になります。

 以上が、ある患者さんの目標を考えるときの流れの例でした。

考えておいた方が良い事その②:退院後をイメージする

回復期病棟での入院生活をイメージするご家族のイラスト
病棟生活でどのような生活をしているのか思い出す

 多くの患者さんは、自宅で元と同じように生活する事を希望します。

 ところが、いざ入院してしまった家族を前に、退院後自宅でどのように生活していくのかのイメージは浮かびにくいです。

 退院後のことを考えるためには、入院中病室や食堂でどのように過ごされているのか見てみるとイメージが湧きやすいです。

 例えば、日中は何をして過ごされているのか。

 具体的には、ベッドに座って本を読んだり、テレビを見ているのか?病室を出て食堂で座って誰かと会話しているのか?

 他には、病棟内で移動する時には、歩いて動いているのか、それとも車椅子で動いているのか。

 歩いて動けているとしたら、何か使っている歩行器はあるのか、誰かに付き添ってもらっているのか?

 付き添いであればその理由は何なのか?歩きが不安定なのか、それとも目的地を思い出せない等の理由があるのか?

 薬は自分で飲む事が出来ているのか?決まった時間に誰かに手渡してもらっているのか?

 退院する頃になると、入院した当初の状態からは改善していることが多いと思いますが、退院後は多かれ少なかれ病院での生活に近しい生活様式になる可能性はあります。

 そのため、入院中の体の状態や生活スタイルを見て、退院後どのような生活になるかをイメージすることも大切です。

 可能であれば、リハビリの見学や面会は積極的に行かれる事をお勧めします。

考えておいた方が良い事その③:どれくらいサポートする事が可能か考える

回復期病棟から退院したあとのイメージをするご家族のイラスト
現在の状態から、退院した後の事を想像してみる

 入院している家族が退院したら、あなたはどれくらいサポートしてあげる事が出来ますか?

 具体的には、一緒に住んでいるのであれば、どれくらいの頻度・時間でその家族をサポートする事ができますか?

 そして、もし家族に介助が必要な状態で退院するとしたら、その介助をしてあげることは可能ですか?

 一緒に住んでいない家族であれば、定期的に自宅へ訪問して、サポートする事は可能ですか?

 どうしてこのような事を考えたほうが良いのかというと、退院後に利用できるサービスには、介護度や生活状況によって、限りがあるためです。

 例えば、同じ建物に家族が住んでいれば、掃除や洗濯などの家事のサービスを受ける事が難しくなります。

 また、利用するサービスが多くなると、介護保険を利用できる限度額を超え、実費になってしまう可能性もあるためです。

 そのため、多くの方は、サービスと家族のサポートを併用しながら生活していく事が考えられます。

 今行っている仕事や家事をしながら、時間を作りサポートしていくのは大変です。

 なので、どれくらいの支援が必要で、どれくらい支援する事ができそうかは事前にご家族間でしっかり考えておく必要があります。

 それを考えておくと、退院後、誰がいつサポートしに行って、どのようなサービスを並行して利用するのか、イメージしやすくなると思います。

 一人だけで考え込んだり悩む事はあまりおすすめできません。

 主たる介護者の負担が増え続けるあまり、介護者自身の心身が疲れてしまう可能性があるためです。

 上記内容については、病院と自宅の窓口となるソーシャルワーカーさんから、助言してくれることが多いと思いますので、気になる方は相談してみることをお勧めします。

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