現在も訪問リハビリのお仕事をしているのですが、最近は感染対策で利用者さんのご家族様が消毒用アルコールを置いておいて下さったりします。
これまで、病院でも事業所でも、手の消毒には消毒用アルコールしか使ったことがありませんでした。
しかし、最近は消毒用アルコール以外でも、次亜塩素酸という文字がついた除菌用のスプレーをよく見かけます。
中でも、ノロウイルスを不活性化(感染性を失う)してくれる次亜塩素酸ナトリウムは、プールの匂い…そう、塩素みたいな匂いがする事で有名です。
次亜塩素酸ナトリウムは手につけたら皮膚が溶けちゃうので、手の消毒には用いることは出来ない…そこまでは認識していました。
しかし、消毒用アルコールとの違い、また次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違いは全く知りませんでした。
今回、消毒について限りなく素人な私が、とあるきっかけでそれらの違いについて調べることになったので、わかった内容を紹介してこうと思います。
始まり:突如手に吹きかけられたスプレー
どうして次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムについて調べ始めたのか…
始まりは、手に吹きかけられたとあるスプレーでした。
最近スーパーへ行くでも、お仕事で訪問先に伺う際も、手の消毒液を置いておいて下さるケースが多々あります。
そんな中、いつものように手に消毒用と思われるスプレーを吹きかけてもらった後に、容器のラベルをふと見ると
「次亜塩素酸」という文字が見えたのです。
「あれ…!?これ手につけたらいけないスプレー?」
しかし、手がヌルヌルする感覚はありませんでした。…平気なのか?
(「これ、手につけて大丈夫なスプレーなのですか?」)
って質問しようと思ったのですが、自分の認識が誤っている可能性を考え、その場を後にしたのでした。
そして調べた結果ですが、やっぱり私の認識が誤っていて、あの時吹きかけられたスプレーは手に使えるタイプでした。
そう、そのスプレーは次亜塩素酸ナトリウムと似た名前の次亜塩素酸「水」だったのです。
次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の違い
次亜塩素酸ナトリウムと、次亜塩素酸水の大きな違いは、pH(ペーハー)です。
ご家庭にあるハイターやブリーチの成分でもある次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸に水酸化ナトリウムが加わったものです。
この水酸化ナトリウムのpHが強いアルカリ性で、手につくと表面のタンパク質を分解し、手がヌルヌルします。
直接触れてはいけません。
対して、次亜塩素酸水は次亜塩素酸に水を加えたもので、pHは中性〜弱酸性。これが手に優しいと謳われる理由の一つです。
そして、次亜塩素酸の殺菌力はpHによって大きく変化し、次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと比較し、殺菌力が80倍も高いのが特徴です。
そのため、かなり薄めても使えるので、それも手に優しいと言われる理由だそうです。
手に優しいのに殺菌力は高い…すごいですね。しかし、難点があります。
それは、次亜塩素酸水は長期保存に向かないことです。
消毒用アルコールには保存期限がないのに対し、次亜塩素酸水は出来上がった側から分解していって効能が失われていきます(空気、紫外線や温度によって分解が加速する)
購入する場合には、使用期限を確認しておいた方が良さそうです。
参考 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料厚生労働省
消毒用アルコールとの違い
物質自体も異なりますが、ウイルスや菌への作用の仕方も異なります。
消毒用アルコールは、たんぱく質を変性させる作用があり、この作用でウイルスの油のような膜(エンベロープ)を破壊します。
そして、エンベロープを破壊されたウイルスは活性を失います。
なお、エンベロープを持たないノロウイルスやロタウイルスには効果が低いことから、これらには次亜塩素酸を使った消毒が推奨されています。
アルコールがノロに全く無効なのではありませんが、ノロに似たネコカリシウイルスを用いた実験では、30秒間以上アルコールに接触しなければ不活性化しないというデータがあるようです。
次亜塩素酸はどうして殺菌やウイルスの不活性させるの?
次亜塩素酸は、とても不安定な物質で、常に安定した物質になりたがります。
安定した物質になるために、ウイルスや菌などの有機物に触れて相手を酸化させるとともに、自らを分解することで安定させます。
こうして次亜塩素酸が安定するかたわら、分解されたウイルスは不活性化し、菌は死滅が死滅します。
また違う物質!?そして新たに出会う除菌スプレー「キロールサニテ」
仕事からの帰宅中、薬局で新しいタイプの除菌スプレー「キロールサニテ」に出会います。
薬局のおばちゃんにとてもオススメされたので、試しに使ってみることにしました。
何が気になったのかというと、次亜塩素酸でもなく、アルコールでもない除菌スプレーだったからです。
成分を見てみると、[水・白金・クエン酸など]
成分的には体に優しそうなスプレーです。
白金ナノ微粒子が、細菌やウイルスを分解し、殺菌作用やウイルスを不活性化してくれる効果があるようです。
静岡大副学長で遺伝子実験施設長の露無(つゆむ)慎二教授=遺伝子工学=がこのほど、白金のナノ微粒子(ナノは100万分の1ミリ)に細菌ウイルスを分解する効果があることを実証した。
白金は光を受けて反応する「光触媒作用」でウイルスを分解することが知られていた。
国立静岡大学研究開発 キロールサニテの資料より引用
ネットで調べると、公式のホームページは出てきますが、レビューは少なく、情報量も少ない印象です。
しかし、使った感じは無臭の水のような感じで、皮膚には優しい感じがします。
使用期限は記載されていませんでした。
プラチナが入っているので、金属アレルギーの方は使用は難しいかもしれません。注意書きにも、使用は控えるよう記載してありました。
値段ですが、薬局に売っていたボトルは、500mlで値下げされた状態で1本2480円でした。
楽天だと2170円で販売されていますが、別途送料が500円かかりますね。
キロールサニテ 500ml結論:私は引き続き消毒用アルコールを使っていく
今回流行しているコロナウイルスは、ノロウイルスと異なり、消毒用アルコールで不活性化出来るウイルスです。
値段や保存性を考えると、私は引き続き消毒用アルコールを使っていこうかなと思います。
一時期は見かけなくなりましたが、少しずつまた薬局やスーパーで販売されるようになって少し安心しました。
それでは、皆様も体調に気をつけてお過ごし下さい。