◯◯力と◯力。それは、床ずれの原因の中では「外的因子」と呼ばれています。つまり、その方自身以外からもたらされる原因の事です。
そして、床ずれが生じる直接的な原因となりやすいものです。
そんな外的因子でもある2大要因はズバリ「圧力」と「ズレ力」。
本日はこの床ずれの原因と対策についてお伝えしていきたいと思います。
床ずれについて知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
【できると大変】床ずれとは何か?介護が始まったら知っておきたい事
【2大要因】床ずれの原因って何?ズレ力と圧力について
床ずれの原因その1:圧力とは?
図を使って説明すると、おばあさんのお尻からマットレスへかかる体重に対して、ベッドのマットレスからおばあさんのお尻に向けて加わる力によって発生するものです。
圧縮応力とも言います。
体に強い圧力が加わった部分は、血行が悪くなり、それが続くとその部分に壊死を引き起こします。
健常な方は、強い圧力が加わる事があっても、床ずれに発展することはほぼありません。
なぜなら無意識のうちに動いて圧力を逃したり、圧力が加わる場所を移動したりすることができるからです。
椅子で座り直したり、ベッドで寝返ったりする動きがそうです。
対して、寝返ったり、座り直したりすることが難しい方は、血行が悪い状態が続きやすく、床ずれが生じやすいと言えます。
床ずれの原因その2:ズレ力とは?
- ベッドを上げた時
- 乗り移りをする時
- ベッド上で動く時
1つ目を例に挙げます。ベッドの頭を上げた時、持ち上がってくるマットレスに対して、体は斜め下の方向への動きます。
この二つの動きの方向や大きさが異なると、当たっている体の組織にはズレる力が生じます。
それは、体の組織が引っ張られる力であったり、力が加わる面に対して、滑り切られる様な作用を受けます。
床ずれの危険を減らしたい…家族は何をしてあげられる?
ここからは、床ずれの原因となる圧力やズレ力を軽減する方法をお伝えしていきます。
圧力を減らす
自分で体験してみないと分かりにくいのですが、ベッドの頭を上げただけで、腰や背中にかかる圧力は強くなります。
ベッドの頭を上げた後は、高まった圧力を逃してあげる様にしましょう。
自分からあまり動かない方の場合には、特定の箇所に圧力が加わりやすくなります。
座っている時であれば30分くらいを目安に座り直してもらいましょう。
寝ている時であれば、2時間起きに向きを変えてあげましょう。
意外と盲点なのが、シーツや衣服のシワです。
皮膚が弱い方や、動けない方にとって、シーツや服のシワはそれだけで痛みや床ずれの原因になります。
何より小さなシワでもずっと触れていると不快感が生まれるので、寝る時・座る時、体が接する部分にシワがあれば伸ばす様にしましょう。
ズレ力を減らす
ベッドの頭を上げる時にズレる力を減らすには、事前に足(膝上げ機能を使う)を上げておく方法があります。
ベッド上で上に動いたり、横に動いたり…この時も体とマットレスにズレが生じやすくなります。
「皮膚が弱くて、ベッドで動くだけで痛そう…」そんな時はスライディングシートを使って介助をするときの摩擦を減らしてあげましょう。
さいごに:小さなアクションを見逃さず
床ずれは出来る前になんとか防ぎたい…ですよね。
しかし、圧力やズレ力は目で見えるものではなく、調べるには体圧を測定する機械を使う必要があります。
そのため、なかなか気付きにくいのが現状です。
そこで、私たちが事前にその危険を察知できる必要があります。
ベッドから車椅子へ乗り移る時、ベッド上で動く時…痛そうな表情はしていませんか?
また、寝ている時・座っている時に「なんだかお尻が痛いのよ」 「寝てると背中が痛いな」このような訴えはありませんか?
そんな小さなアクションがあったら、まずは痛い場所を確認しましょう。
- トイレに行く時
- 着替えをする時
- お風呂へ入る時
上記のタイミングは、さりげなく皮膚の状態を確認できるチャンスです。
特に、お尻の後ろ・かかと・背骨は床ずれが出来やすい箇所です。気になる時は確認してあげましょう。
床ずれは予防が大切です。
年齢と共に緩やかに機能が低下していく場合には気付きにくいかもしれませんが、上記の様なタイミングは床ずれが生じやすいタイミングといえます。
何か体の状態や生活習慣に変化があった時、「私の家族は大丈夫かな…?」と気にかける事も予防に繋がります。
家族の介護が始まったら、ぜひ気にかけてあげてください。