先日、床ずれの原因となるズレと圧は、介護用ベッドで背上げ機能を使った時に生じやすいとお伝えしました。
そんな背上げ時に生じるズレや圧を軽減してくれるのが、「背抜き」です。
「背抜き」は健常の方であれば、無意識の中にベッドでモゾモゾしたり姿勢を変えることによって知らず知らずに解消していたりします。
しかし、体に圧力が加わる感覚がわからない方や、動けない方はそれが出来ないことがあるため、介助者が背抜きをしてあげる必要があります。
本日は、この「背抜き」のやり方をイラストを使ってわかりやすく説明していきたいと思います。
「ベッドでモゾモゾ出来ない方に」介助方法:背抜きのやり方
「背抜き」という名前ですが、実は背中だけでなく、お尻や踵(かかと)まで介助していく必要があります。
背上げをする前と、背上げをした後のイメージをご覧ください。
![背上げによる不快感を表したイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/91bfe02ace532bee28130dd052a8541e-3-1024x683.jpg)
![背上げによって踵がマットレスに食い込んでいるイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/21078a5f5469c52d68957d3b3dccccd0-3-1024x683.jpg)
お尻や踵がだいぶ下にずり下がっている様に見えますね。
これ、寝ている本人はかなりの不快感(痛みや窮屈感)を感じたりします。圧が加わるのは、背中だけじゃないのです。
きっとおばあちゃんはこう思っているはずです。
それでは、圧や不快感を解消していくために、背抜きの介助のやり方を見ていきましょう。
①背抜き
1種類目:体を起こして圧を抜く(図は右側の背中の圧抜き)
![背抜きのやり方のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/c25a024bcd0eae15d13f54224ddbe79c-3-1024x683.jpg)
介助者は、両手で相手の上体を支えて、ゆっくりと斜め前に傾ける
背中全体を傾けるのは結構大変なので、片側ずつ行いましょう。
2種類目:両手を使って圧を抜く
![背抜きのやり方のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/5a185e17a095d992c2ff18e8c73fcd00-2-1024x683.jpg)
片手で上体を持ち上げる→持ち上げる事で出来た隙間から、もう片手を差込む(※)
②尻ぬき
1種類目:体を起こして圧を抜く
![背抜き(尻抜き)のやり方のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/e8bc79e02ded6a440392c268427fa7c0-1024x683.jpg)
尻抜きの時は、背抜きの時よりもさらに片側に体を傾ける必要があります。
片手で相手の肩を抱え、もう片手は腰を持つ→介助者は体を斜め前に傾けて、相手のお尻の圧を抜く
2種類目:両手を使って圧を抜く
![背抜き(尻抜き)のやり方のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/467057941efa121537f95f6ce2430fa8-1024x683.jpg)
やり方は①に同様
③足抜き
両手を使って圧を抜く
![背抜き(足抜き)のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/674288375fad2513651bcfa57081e608-1024x683.jpg)
片手で下から踵〜足首を支える
反対の手で腿下から踵まで圧抜きをする。
背抜きを行うタイミングは?
背抜きは、主に介護用ベッドで背上げをした直後や背上げをしたところから再び背下げした後も行います。
その他、常時体を動かせず寝たきりの方の様な場合にも、定期的に背抜きを行ってあげると喜ばれます。
やってみたら意外と大変?そんな時は介助グローブを使ってみよう
![介助グローブのイラスト(背抜き)](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/534e4608f0cf7691c7a1479420654a77-1024x683.jpg)
背抜きのやり方かの1種目である「体を起こして圧を抜く」というやり方は、シーツや衣服のシワを伸ばせるので、相手はかなり楽になります。
しかし、背抜きを必要とする方の多くは身動きが取れないケースが多く、必然的に介助量が多いということになります。
と介助者自身が大変になってきてしまう事があります。
そんな時は、上述した2種類目のやり方(手を差し込んで圧を抜く方法)を介助グローブを使って行うのがおすすめです。
介助グローブはサラサラしており摩擦を感じにくく、介護者・要介護者共に優しい介護用品といえます。
![介助グローブの使い方のイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/4992293b9a19b3cf03daaa0dad06e9bc-1-1024x683.jpg)
![介助グローブを使った背抜きのイラスト](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/07/8399aaf286c163db5a78ede40b309700-1-1024x683.jpg)
なしの時と比べるとスルスル動き、かなり楽に感じます。体を動かすときに痛みが生じてしまう場合や、恐怖心が強い場合にも有効です。
ほんの一手間ではありますが、ご自身で動くことが難しい方にとって、背抜き(圧ぬき)をしてもらうとしてもらわないではかなり違いがあります。
是非背抜き前後での感想を聞いてみてください。なかなか声を出すのが難しい場合には、表情や全体の姿勢をみるでも良いです。
きっと、余計に入っていた力が抜けている感じがわかると思います。
ちなみに私が持っている介助グローブはこちら↓。
![](https://ptnodoka.com/wp-content/uploads/2020/10/21078a5f5469c52d68957d3b3dccccd0-1024x683.jpg)
ケープ(CAPE)さんの介助グローブです。サラサラスベスベしていて、使いやすかったので、私物用に購入しました。
長さも、二の腕の途中くらいまで覆ってくれるので(腕の長さでも差がありますが)結構奥まで入ります。
背抜きだけでなく、ベッド上で寝ている方の位置を変える時などにも使えます。ご興味のある方はどうぞご覧ください。
背抜きのイラストをご使用されたい方へ
現在、背抜きのイラストを使用したいという声を多くいただいております。
そのため、簡単なアンケート(氏名やメールアドレスは不要)にご回答してくださった方に限り、当記事のイラストや文章を教育・指導・研修などで無料で使用していただいて構いません。
どうぞよろしくお願いいたします!