ベッドで寝ているところから体の位置を反対側にしたり、ベッドから起き上がる時など…多くの方が毎日ベッド上で寝返っていると思います。
ですが、中には寝返りたくても自力では寝返ることが出来ない方もいます。
本日は、そんな時に相手の力を引き出す方法と寝返りの介助方法について、説明していきます。
どうして寝返りが必要なの?
寝返りを行う事が出来なくても、仰向けのままから起き上がる方もいます。
寝返れなくても問題ないのではないかと思われてしまいそうですが、寝返りが必要となるのは起き上がる時だけに限りません。
寝ている間も人は寝返っており、一晩におおよそ20回前後行っています。体の一部に圧が滞るのを避けたり、体の循環をよくする為です。
動けないと寝ている間に「床ずれ(※)」という怖いキズが出来てしまう事もあるので、寝返りはとても大切です。
※床ずれ(褥瘡)とは:
寝返りを行う際には、目線から首、肩、腕、腰、足まで全身に渡って回転するような動きが出てきます。
動きが出るためには体の柔らかさだけでなく、頭や腕や腰、足を持ち上げる力も必要ですし、動きをコントロールする力や多少のスピードも必要です。
つまり、体を動かす際に使う様々な能力が衰える事により、寝返りが出来なってしまう可能性があります。
上記の他にも原因は様々で、例えば認知症で寝返るという動き自体がわからない場合や、視力や感覚が衰える事によってどう動かしたらいいのかわからなくなってしまう方もいます。
寝返りで相手の力を引き出す方法
上でお話した様に、寝返りの動きでは、体の様々な能力が必要です。
そのため、寝返りが出来ない方がいる場合には、寝返る動きのどの部分が出来ないのかを発見してあげる事が大切です。
そして、相手に足りない部分はこちらで補ってあげながら、相手が無理なく出来る範囲の動きはやってもらう、というのがベストだと思います。
ここからは、相手の力を引き出す方法を例を挙げながら説明して行きます。
- 例1)動き自体がわからなくなってしまっている場合
- 例2)体が固い場合
- 例3)力が足りない場合
例1)動き自体がわからなくなってしまっている場合
動かす力や柔らかさはあるけど、動きがわからない場合には、動きをジェスチャーや言葉でわかりやすく伝えてみましょう。
どういう事かというと、寝返りを行う際に伴う体それぞれの動きを、分解して伝えていくイメージです。
例2)体が固い場合
寝返る前に、首や腕・腰を動かす事で、柔らかさを引き出してみましょう。
例えば、寝返る時に伴う動きである、首から肩〜足にかけて進行方向へ回転する動きを個別で出していくようなイメージです。
参考までに、それぞれの部分を動かす方法の例を図で載せておきます。
・肩〜背中
・背中〜足
・首〜肩
頭の下にタオルを敷くのは、寝返る際の「頭を持ち上げながら同時に進行方向へ向く」動きに近づけるためです。
事前に体を動かすと、実際寝返る時には少しスムーズになります。
例3)力が足りない場合
力が足りない場合には、何か摑めそうな家具や手すりを側に置いてみましょう。
例えば、身近に手すりがあればそれを摑んで引き寄せます。手すりという目標物があるだけでも、手が伸びる方もいます。
手すりを引き寄せる事が難しい様であれば、手すりまたは体の位置を調整してみましょう。
手すりを摑んで寝返りを行う際、手すりが近すぎても遠すぎても、力は出にくくなります。肘が90°位曲がる位置に手すりが来るのが理想です。
環境を整えても難しい場合には、こちらで必要なだけ介助を行っていきます。
寝返りの介助方法
ここで、寝返りの介助を行う方法を順序に沿って説明していきます。
準備1:まずは声かけをする
これから何をするかがわかると、相手の方は安心しますし多少協力してくれる事もあります。
準備2:進行方向と反対の腕を手前に寄せておく
寝返る方向と反対の腕が残ったまま寝返ると、残った腕が重しとなって動きにくくなります。
準備3:両膝を立てる(立てなくても出来る場合には立てなくてokです)
両膝を立てると、体がベッドに接している面積が小さくなり、不安定になる事で、動かしやすくなります。
ですが、感覚が鈍い場合や恐怖心が伴う場合には、膝を立てないまたは片膝だけ立てる方がやりやすい場合もあります。
動きの開始:まずは「目線」から順に進行方向へ向けていく
進行方向が見えないまま突然に体を横へ向けられると、恐怖感を与えてしまう場合が多々あります。
また、目が進行方向へ向く事によって、次の動きも行いやすくなります。
肩や背中を支えながら、頭→腰へと流れるように手前に引き寄せていく
頭を持ち上げつつ進行方向へ向けたら、上側の腕→肩→腰も続いて動かしていくイメージです。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!