学生の頃、介助方法の指導を受けている時「体重移動を使いなさい」「動かしたい方向と反対に体を構えなさい」そんな事を何度も言われた記憶があります。
もちろん言われた事をやろうとしても上手くいかず、試行錯誤の繰り返しになります。ですが、段々と自分の中で体重移動を利用している感じや、気付いたら動かす方向に対向に構えるクセがついてる事に気付きます。
体重移動を利用すると、肩・腰を始め体への負担がすごく減るのです。
本日は、介助をする際の体の使い方の1つ、体重移動を利用する方法とその利用場面を2つ紹介します。
体重移動とは
体重移動は、現時点で自分がいる所から、体の位置関係を変える事によって自分の重心の位置を移動させる事です。体重は重心にも置き換えられます。
介助を行う場面では、寝返ったり起き上がったり、立ち上がったりと、大きな動きを伴う際にこの体重移動を利用する事が大切です。
体重移動そのものは、体の位置を変える事によって得られる動きなので、大きな力は不要です。そのため、介助を行う際にそれを組み合わせる事によって自分への体の負担を減らす事が出来ます。
今回お伝えする体重移動は、主に介助を行う方を想定して説明していきます。
体重移動を行うポイント
自分の立ち位置を工夫する
介助を行いたい相手(要介護者)に対して、自分の体は動かしたい方向と対向する位置に立ちましょう。
例えば、Aの箱をB方向へ倒したいとします。その場合、自分はB付近へ立ち、さらに箱に向かい合う形になります。
ここでの注意点は、人・物が動きやすい方向に対して、自分の立ち位置を斜めにしないことです。
上の右側の図であるように、箱の平面に対して斜め方向から引くと、加えた力が横方向へ分散されてしまい、結果的に正面のBの方向へ箱を傾け辛くなってしまいます。
自分の関節の動きを利用する(腿の付け根、膝、足首の関節)
体重移動を行う際、自分の体をいかにして楽に移動をさせるかは大切なポイントです。体の重心は、主に腿の付け根(股関節)、膝、足首の関節でコントロールしていきます。
上の図では、腿から足首の関節にかけて曲げて重心を後ろかつ下方へ移動させる事により、引く力を増強していっている図です。腰の痛みが出ないように、上体は曲げ伸ばししないで行いましょう。
体重移動を行う時に、自分の腿の付け根、膝、足首のどこを深く曲げると楽になるかを意識すると、自分の動きのレパートリーを増やしやすいと思います。
体重移動を利用した介助場面の例
寝返り
体を寝返りたい方向に動かすタイミングで利用します。
立ち上がり
体を前へ傾ける所から、お尻が持ち上がるまで体重移動を利用します。上体を動かす時は、骨盤から動かす事を意識すると腰を痛めにくくなります。
以上が、体重移動を利用した介助の一例です。
この他にも、起き上がりやベッドから車いすの乗り移りなど、利用するタイミングは沢山あります。とても大きい力を発揮しなくてはならない時にこの体重移動をぜひ思い出して下さい。
今回は、体重移動に焦点を当てて説明してきましたが、色々な動作の細かな介助方法については、また別のタイミングでそれぞれ記事を書いていきたいと思います。
こちらは、介助方法についてのまとめページです。
ご興味があれば、ぜひご覧ください!