家族が入院した時、服は病院から有料でリースさせてもらえる所がほとんどかと思いますが、家から本人が着る服を持参するケースもあるかと思います。
病院に服を持参する場合、どのような物を持っていけば良いのか。本日は服の種類による特徴から着やすいタイプをそれぞれ書いていきます。
一番大切なのは服を着るご本人が着やすい・着心地が良いと感じるかどうか、気に入っているかどうかだと思いますので、あくまでも参考程度にご覧頂けたらと思います。
入院中に欲しい服の要素
私が勤務していた職場では、朝と夕方に毎日お着替えのリハビリをしていました。
そんなリハビリ中に感じた事は、服によって、患者さん自身着替えが億劫になってしまったり、一日を快適に過ごしにくくしてしまうものがあるという事です。
入院が原因となった怪我や病気にもよるのですが、病前と比べ体の状態がどうなっているか、そして入院中に何をしている事が多いのか(起きてる時間が多い少ない等)によっても欲しい要素は少しずつ異なります。
患者さんが好んで着ている服やご意見も参考に、良いと思われる服についてリハビリ視点で書いていきます。
脱ぎはきがしやすい
骨折や脳卒中等で片手や片足がききにくくなっていたり、肺炎などで体力が落ちてしまっている方にはこの要素は大切です。体の状態的に着替えている途中で疲れてしまう可能性があるためです。
活発でエネルギッシュな方であれば気にしなくて問題ありませんができれば脱ぎはきがスムーズに行えるものが良いでしょう。
着心地が良い、柔らかい
入院中ベッドで寝て過ごされている時間が長い場合は、着心地は重要です。ベッドで横たわるたびに着替えるのは大変ですし、肌が繊細な方は服のしわによって跡がついてしまう方もいます。寝心地もよさそうな素材を選びましょう。
乾きやすい
入院中は、痛みや熱、リハビリなど汗をかくタイミングが多かったりします。ベッドで寝ている事が多い方も、熱がこもって汗をかいたりします。
衣服の交換やお風呂へ入る回数も毎日のようには出来ない事が多いので、綿のような通気性の良い服だと体がベタつきにくくて良いと思います。
服のタイプと特徴
上着とズボンは大きく分けるとそれぞれ二つの種類のタイプがあります。それぞれの特徴を説明していきます。
上着
〈前開きシャツ〉
骨折や脳卒中後の痛みで、腕を大きく動かせないような方の場合は、ボタンタイプの前開きシャツは比較的着やすいです。前が開くので、腕を大きく動かす事なく着る事が出来ます。
ファスナータイプでも前開きシャツがありますが、目が見えにくい方や片手が不自由な場合はファスナーの上げ下げがしずらくなります。
〈かぶりシャツ〉
腕をあまり動かせない場合や痛みがある際には、脱ぎ着をするのに少しコツがいりますが、綿で出来ている物も多く着心地は良いかと思います。
注意点として、体にピッタリしすぎてピチピチになるようなサイズの物は腕や頭を入れる隙間が少なく脱ぎ着するのが少し大変です。
特にピッチリしているロングTシャツは着るのも脱ぐのも大変なので避けたほうが良いでしょう。
ズボン
〈ゴムタイプ〉
ゴムタイプのズボンは片手でも脱ぎ着がしやすいのでお勧めです。
注意点としては、体に密着する薄い生地のようなタイプのズボンは足を入れる際つま先がズボンに引っかかりやすい傾向があります。
足や手に力が入りにくい方はジャージのような少ししっかりした生地が比較的脱ぎはきしやすいと思います。
〈ファスナータイプ〉
ファスナータイプは素材自体が固いものが多く、休む時間が多い方には適さないかもしれません。
加えて、ベルトを付けなくてはならないものは片手が利きにくい方の場合には脱ぎ着に時間を要します。トイレが頻回の人は特に大変です。最初から導入するには難易度が高いです。
元々それを着る機会が多い方もいるかと思います。その場合には、退院前や入院生活が慣れてきてからが導入すると良いかもしれません。
その他
靴下について
靴下は、口の部分のゴムがきつすぎないものが良いでしょう。口部分がきついと足の循環の妨げになります。むくみがある方だと圧迫によって跡がついたり痛みが出たりもします。
また、毛玉が多いタイプのものは、靴下を脱ぎはきする際に爪が引っ掛かり痛めてしまう場合があるので可能であれば避けた方が良いです。
その他、真冬等によく見かけますが、厚手の靴下を履く場合には、靴を履いた時に足がきつくなってしまわないか確認してあげて下さい。足がきつくなると靴ズレや痛みの原因になる事があります。
退院前には病前に普段から着ていた服を着用してみましょう
病院を退院する前には、普段から着ていた服も着てみましょう。
病前と体の状態が大きく変化している場合、服によっては、もともと着れていたはずがうまく着れない事もあります。
着方がわからない場合は退院前に担当のリハビリスタッフや看護士さんに相談してみましょう。