どうもこんにちは。
昔、とある福祉用具の先生がこうおっしゃいました。
先生:「福祉用具は、良い事もあれば、必ずと言って良いほど欠点もついてくる」
私「欠点…(・▽・)?」
と、聞いたときの私の反応はこの様な感じです。ですが実際に在宅を見てみると、その先生がおっしゃる通りだと痛感する事がしばしば。
福祉用具のメリットだけを考えて導入するのは気をつけた方が良さそうです。
本日は、私がその様に思う理由、つまり福祉用具導入時の注意点をつらつらと書いていきたいと思います。
【福祉用具】便利だけど、良いことだけじゃない。導入時にはよく考えよう
部屋が狭くなる「その福祉用具、置く場所ありますか?」
福祉用具にはいろんな種類のものがありますが、人の動きを補ったり、支えたり、その様な機能があると必然的にサイズは大きくなります。
そっと隣に置いておける杖くらいのサイズのものは、むしろ稀です。
例えば
なんて思っても、既にお外用の車椅子を借りている場合、その歩行器はどこにしまいましょう。
玄関が広ければ良いですが、既に他のものに占領されている場合、他の部屋に置いておかなくてはいけません。毎回の持ち運びも大変です。
廊下にでも置くことになったら、それだけでもかなり通路は狭くなります。導入の必要性を感じて、「介護保険の点数足りた!ヤッター!」と喜ぶには早いのです。
その廊下まで歩行器を持って入るのは華奢(きゃしゃ)な奥様…ということもありえます。福祉用具の重さは、単に使う時のことだけでなく、持ち運ぶ時の事も視野に入れなければいけません。
それは、そこに設置できるのか
浴槽周りや伝うものがないお部屋の移動のための「手すりの位置」をビビッとひらめく私。
これで、なんとか安全に移動ができそうだ、安心しながらケアマネージャーさんや福祉用具業者さんに連絡。
が、しかし…設置する場所の壁の構造や水道管の有無などにもよって付けられないこともしばしば。
そんな時は、業者さんは優しいので、すぐに代替案を考えてくださるんですが…こればかりは聞いてみないとわからないのです。
使い方を誤れば事故につながる
- 介護用ベッドで寝ていて、柵とマットレスの間に誤って手や足を入れたままベッドの頭の高さを調整した所、体が挟まって怪我をした
- ネジが緩んだまま歩行器を使ったら、つなぎ目部分に手が挟めて怪我をした。
- 段差に車輪が一つ落ちてしまい、車体ごと体も転倒
事故防止のために、最近の福祉用具には工夫がこなされているものが多くあります。
高さや形の調整部分のロックは二重式になっていたりしますし、手を挟みやすい部分には注意書きがかかれたりもしています。
しかし、それでも気をつけて使わないと容易に事故は起きます。
加えて、機能があればあるほど、使い方も複雑となり、逆に使いにくくなってしまうものもあります。(例:多機能ベッド…使う本人がボタンが多すぎて混乱してしまう)
使用されるご本人(または家族が)が正しく使えるかも要チェックです。場合によっては使う練習も必要です。
果たして、実際に使われるのだろうか
- 退院を目前に購入を決めた歩行器、いざ自宅に買ってみると、全然使わなかった…。
- ポータブルトイレを買った。けど、結局使わず物置と化してしまった。
病院勤務の頃、患者さんを送り出してしばらく経った後「退院時に導入したあの福祉用具、全然使ってないわよ」と訪問スタッフさんから頂く予想外の言葉
私たちからしたら「え、使ってないの?そしたらどうやって生活してるの?」と思ってしまうわけですが…
実際自宅で生活するとなると、意外と動けたり、福祉用具が逆に動きの妨げになったりして、結果的に使わなかったという事はしばしば。
ですから、福祉用具はレンタルできるなら極力した方が良いと思います。購入したけど、使わなかったとなると割とお財布にはダメージです。
それでも私は福祉用具が好き
【慣れ親しんだ家で住み続けるために】優しさあふれる福祉用具
「自分の力だけでは歩けない、どうやってトイレにいけば良い?」
「お風呂に跨げない、もうお風呂には入れないの?」
病気や怪我で体が不自由になると、現実的には今まで通りのやり方ではご自宅で過ごす事が出来なくなる事もあります。
それでも、今まで通りの場所でその人らしく過ごすことを助けてくれる福祉用具はたくさんあります。
予防としても使える福祉用具
これは、何も事が起こってから導入とは限りません。「あれ、ちょっと最近歩きが心配になってきたな…」「つまづく様になった…」
どうかその様なタイミングで、転倒予防としての導入を検討した方がいいと私は思っています。(何か他の病気が隠れていないかを並行して調べる必要はありますが)
転倒して怪我でもしてしまって、長期間寝たきりの生活になってしまうと、ご高齢の方は筋力が落ちやすく、認知機能が低下してしまう事もあります。
栄養不良だと、体力を戻すのも大変です。
【よくみる福祉用具の導入のタイミング】
今は早めに集中的なリハビリをして、なるべく早くもとの生活に戻れる方が、機能低下を予防出来ると考えられています。
【私が考える理想の福祉用具導入のタイミング】
←ココで導入を検討する
転倒予防が図れる事で、生活様式を大きく変える事なく、なるべく長くその人らしく生活を営める期間が伸びる。
割とよく言われる事です。確かに、それは一つの正解かもしれません(泣)ただ、それでは遅いと感じてしまう私です。
結果的に福祉用具やその他のサービスを利用することになっとしても、「普段行っていた習慣」の難易度を下げて「これまでの生活をより安全に継続する事ができる」のであれば、その方が良いと思っています。
可能な限り活動的な生活を営んで欲しいです。健康的な生活を続けられる年齢が伸びる事はとても価値のある事です。
ということで、本日は福祉用具の導入に立ちはだかる様々な壁と、それでも私が福祉用具が好きな理由をお伝えしました。
これからは、国や個人の医療費の負担を減らすため、そしてその人らしく生きていくために、病気や怪我をいかに予防するか、その様な事業や取り組みが活発的に起こる時代だと感じています。
福祉用具に立ちはだかる壁に臆せず、必要と考えれば検討して下さい。
下には、介護保険を使って福祉用具を利用する方法について書かれた記事を貼っておきます。
ちなみに最近私は、介護保険を使わないレンタルを始めました。それについての記事はまた別で書こうと思っています。
それでは、本日もご覧いただきありがとうございました!