「首が痛くて病院へ行ったら、姿勢に気をつけなさいと言われたけど、自分がどんな姿勢で何が良い姿勢なのかがかわからない…」と質問を頂きました。
日常的によく使う姿勢の一つとして、立つ姿勢があります。立位姿勢(りついしせい)とも言います。
本日はこの立つ姿勢について、いわゆる良い姿勢がなんで良いとされるのか、悪い姿勢がなぜ良くないと言われるのか、それぞれの姿勢と特徴について説明していきます。
良い、悪いとはどういうこと?
「あの人は背筋(せすじ)が伸びてスラッとしていて素敵!」
「あのお婆さん背中がすごい丸くなってて辛そうだね…」
身体の作りが異なるように、人の姿勢は多種多様です。そんな姿勢が良い・悪いと分けられる傾向があるのはなぜでしょうか。
それは、良い姿勢の方が見た目がカッコ良いからでしょうか?確かにスラッとしていて真っ直ぐな姿勢の方は若わかしくてカッコいいですね。
ですがスラッとしていても腰が痛くなる方もいますし一概にそれだけが良いとは限りません。
実は、これが完璧な姿勢だ!というものはあまり明記されていません。それは、一人一人の体の作りや生活が異なっており、良いと言われる姿勢が、全ての方にとって良いとは限らないためです。
ここで、良いと言われる姿勢の定義に近しいものをまとめます。それはその方にとって動きやすく、安定していて、生活上で支障をきたしにくい姿勢です。
悪い姿勢はその逆になります。動きにくく、不安定で、日常生活で支障をきたしやすい姿勢です。
支障をきたしやすいというのは、例えば痛みが出やすかったり、身体を自在に動かすことが難しいなどです。
良い姿勢とは
図は、良い姿勢のイメージです。
ピンクの線が重心を表しています。
青い線は背骨、青い▽は骨盤のイメージです。
1. で記載した様に、良い姿勢は動きやすく、安定していて、生活上で支障をきたしにくい姿勢です。
その姿勢の特徴を以下にまとめます。
・重心が耳→肩→膝(ひざ)→足のくるぶしにかけて真っすぐ通っている
・顔は前を向いている
・背骨は反るでもなく丸くなるでもなく緩やかなS状カーブを描く
・膝は真っ直ぐである
・肩や膝、足にかけて左右対象である
悪い姿勢とは
人の姿勢は多種多様で、いわゆる悪い姿勢も沢山の種類があります。ここではよく見かけられる良くない姿勢とその特徴を2パターン紹介していきます。
いわゆる良い姿勢・悪い姿勢の例
背中が丸い姿勢
黄色い矢印は、良い姿勢の体の位置関係と比較した時の各体の位置を示します。
2.の良い姿勢と比べると以下の特徴があります。
〜横からみた図〜
・頭が前に出ている。そして首は下へ下がる
・首から背中にかけて、背骨が丸くなっている
・膝が曲がっている
・重心線に対して頭と膝が前に出過ぎている。対して背中は後ろに引けている
〜前からみた図〜
・肩から足にかけて左右が非対称である
・重心線に対して、体全体が右側へ傾いている
・左右ともに膝が外に向いている
上記のような姿勢になると、重心が後ろがちになりバランスが不安定となり、立ち上がった瞬間や後ろに振り向いた瞬間に後ろへふらつきやすくなったりします。
膝は常に曲がっている状態のため、中には長く歩くと膝やももが痛くなる方もいます。
そして、頭が下に下がりやすい事から、前を向いて歩くだけでも普通と比べて首が張りやすいという特徴もあります。
このような姿勢になりやすくなる原因の一つとしては、高齢に伴い背筋(はいきん)や腹筋、お尻の筋肉などが少なくなってしまった方、また背骨が加齢に伴って縮んでしまう事でもこのような姿勢を取りやすくなります。
この他、デスクワークが多い方は習慣的に頭と肩が常に前に出たままになり、頭から肩にかけてはこのような姿勢になりやすい傾向があります。
背中が反った姿勢
2.の良い姿勢と比べると以下の特徴があります。
〜横からみた図〜
・顔が少し上を向いている
・腰骨がとても反(そ)っている
・重心線に対して、胸が大きく前へ出て、お尻が後ろへ引けている
〜前からみた図〜
・両方の肩がいかり型である
・両方の膝が内向きになっている
このような姿勢になると、重心が前に傾きやすくなり、体は常に前に引かれるような状態になります。その体を支えるために、体の後ろ側の筋肉が全般的に張りやすくなります。
この姿勢を取りやすくなる原因の一つとしては、胸が比較的大きい方や、お腹のお肉が多めについている方がこのような姿勢を取る事が多い傾向があります。
胸やお腹が重いと、その重みで腰骨が前下側に下がりやすくなります。そしてその前に傾いた体を支えようと、肩や背中は常に反る方向へ力をいれなくてはならなくなり、結果として肩や腰の筋肉が張りやすくなります。
このほかにも、上記姿勢を取ってしまう原因は様々あり、人によっても異なります。そして、上記姿勢の他にも様々なタイプの姿勢があります。
姿勢は、その人それぞれの骨格や軟部組織(筋肉をはじめとする骨格や内臓を包み込んでいる組織)、生活習慣等が絡み合い少しずつ異なります。
良い姿勢を思い出した時に、ご自分の頭や肩、腰、膝はどのような位置・形になっていますか?
ウィンドウショッピングをしている時などに、ガラス越しにご自分の姿勢を見てみる機会があると、色んな発見があるかもしれません。